今回は千代田区観光協会が、区内に残る史跡や名所など歴史的価値のある観光スポットをまとめたちよだ歴史さんぽMAP②「ちよだ浮世絵めぐり」からコースを紹介。「マップを見ながら千代田区周辺の歴史を楽しむのはもちろん、街並みや自然、建物を楽しみ、さらに素敵なお店などを知ってもらいたいです」と語る。
今も昔も政治の中枢を担う外桜田川界隈。整然と辿ち並ぶ大名屋敷街や、風情ある内堀沿いには、時代を彩るさまざまな名所が存在しました。浮世絵として当時の様子が伺える作品が多く残されています。巷では2025年に放送されるNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、江戸時代の版元、蔦屋重三郎の生涯が描かれることが決定しています。そこで今回は一足早く浮世絵に注目。千代田区観光協会が名作として知られる浮世絵を厳選し、絵図と合わせて現在の風景と比較してみました。時代の変遷を感じながら、街を散策してみてはいかがでしょうか。
山下御門は、現在の帝国ホテル近くにありました。この絵はその御門あたりから、濠の内側を見た景色を描いたものです。今では濠の一部が日比谷公園内に心字池として残っているのみです。絵図を見ると山下御門の正面に松平肥前守(佐賀鍋島家)上屋敷があることがわかります。赤門は将軍家の姫を迎えた証でした。
現在は埋め立てられ、面影もないが、これは溜池の堰から流れ落ちる水によって形成されていた虎ノ門近くにあった滝で、その水音から「どんどん」の愛称で親しまれたと言われています。左下の建物は金刀比羅大権現(現在金刀比羅宮)。江戸の景勝地のひとつとして知られ、広重も名所江戸百景「虎ノ門外あふひ坂」などの作品を残しています。
桜田通りの霞が関一丁目交差点付近を描いた図。地名は、かつて関所があったことに由来するとも言われています。画像奥(西)にのびる霞が関坂に向かって右手が広島藩上屋敷(現総務省)、左手が福岡藩上屋敷(現外務省など)。江戸城に近く、有力大名の屋敷が軒を連ねていたため、江戸を訪れた人が行く観光名所となっていました。
警視庁付近から西を見た風景です。桜田濠を右手に半蔵門へと向かう道は、江戸時代と変わらぬ風景を楽しめる数少ない場所。本図中央、濠端に名水「柳の井戸」が見えます。
国立劇場あたりから半蔵門を望んだ景色。手前に大きく描かれたのは山王祭の山車です。当時は多数の山車が半蔵門から入城し、将軍が上覧たため天下祭と呼ばれていました。
※2023年10月末から建て替えのため一時休館中
外堀通りの紀之国坂信号付近。右手の門は、今も赤坂迎賓館の東門として健在です。紀伊国坂下には町家の屋根がひしめき合い、道は左端に見える赤坂見附(御門)へと続いています。
紀伊国坂を弁慶橋方面に下る途中(元赤坂1丁目)付近。高速道路が架かっていても、弁慶濠とカーブを描いた地形は今も変わりません。本図の大名行列は紀伊殿のようです。
東京メトロ赤坂見附駅付近。本図に描かれた池は、湧水が流れ込んでできた溜池です。現在は埋め立てられて外堀通りに。池の向こうの鬱蒼とした森は、赤坂見附(御門)の内にある紀伊徳川家上屋敷です。
日吉山王大権現社(現在の日枝神社)は、東京メトロ溜池山王駅からすぐの小高い丘の上に立っています。桜門(現神門)付近から境内を見た光景です。徳川家の産土神として歴代の将軍に崇敬されていまた。現在は都内有数のパワースポットとして人気です。