服飾業界にて店舗内装や商品のディスプレイを魅力的に演出する、ビジュアルマーチャンダイジングやアドバイザーを10年間務める。退職後、その知見を活かし北沢書店4代目として新ブランド・ディスプレイ洋古書専門「KITAZAWA DISPLAY BOOKS」をスタートさせる。古書をディスプレイとして扱うという新しいスタイルを広め、古本業界に新しい風を吹き込む。
■ウェブサイト
▷KITAZAWA DISPLAY BOOKS
▷北沢書店
千代田区に造詣の深い"ちよだ人"をゲストに迎え、千代田区内のおすすめのスポットを伺う「ちよだ人と街歩き」。個性豊かなちよだ人から多種多様なスポットを紹介してもらいます。
今回お話を伺うのは、洋古書を専門に扱う「北澤書店」の4代目店主、北澤里佳さん。街の変化を幼い頃から眺めてきた北澤さんの目に、現在の神保町はどう映っているのでしょうか。北澤さんの1日の過ごし方を追体験しながら、北澤さんが大切にしているスポットを紹介していきます。
靖国通り沿いの北沢ビルの2階で営まれる「北沢書店」。1902年に開業した老舗の洋古書店であるこの店は、北澤さんのオフィスでもあります。「この店には毎朝出向いています。仕事や読書など、集中したい作業は基本的に店内で行いますね。特に読書は、本のある空間の方が本に向き合える気がしています。」
そう北澤さんが話す「北沢書店」には、英文学をメインとする人文科学系の洋書がずらり。背表紙を見るだけで胸が躍る洒落た洋書が取り揃えられています。まるで洋画の中にトリップしたかのような感覚に陥るのは洋書専門店ならでは。シックで落ち着いた空間で思う存分「北沢書店」の空気に浸ることができます。
「北沢書店で働き始めてから、神保町の街がより身近に感じられるようになりました。歴史のある老舗が多い神保町ですが、最近では伝統を継承しながら新しい文化を受け入れる姿勢に変わりつつあると思います。」
ランチどきになると、北澤さんがよく訪れるのは「北沢書店」からもほど近い、靖国通り沿いに店を構える「スマトラカレー 共栄堂」。ここで提供されるのは、インドネシアのスマトラ島から伝わったルーを日本人の口に合うようにアレンジしたオリジナルのカレー。
「ランチはサクッと食べられる店に行くことが多いですね。ここは美味しいだけでなく、とにかく提供が速いのでよく利用させてもらっています。注文するのは『ポークカレー ソース大盛り』のライス少なめ。テーブルに備え付けられているらっきょうを食べすぎちゃうことも多いですね。」と北澤さん。
スマトラカレー共栄堂 詳しくはこちら
住所 | 東京都千代田区神田神保町1-6 神保町サンビルディング B1 |
TEL | 03-3291-1475 |
営業時間 | [月~土] 11:00~20:00(L.O.19:45) |
「本当は誰にも教えたくないのですが……といっても、もうすでに人気店なんですけどね。」と北澤さんが紹介してくれたのが、神保町駅から徒歩2分にある、パティスリーの「STYLE'S CAKES & CO.(スタイルズケイクス)」。
店内のショーケースに並ぶのは、タルトやパイを中心とした色とりどりで、どこか上品な佇まいのケーキ。「私のお気に入りは「バナナクリームタルト」と「イタリア栗のモンブランタルト」。それ以外のケーキも絶品で、お昼過ぎには売り切れる品も多いですね。オープン前の9時から10時半までに電話で予約すれば取り置きしてもらうこともできますよ。」と北澤さん。
ランチ後のちょっと贅沢なおやつにぴったりの「STYLE'S CAKES & CO.」。なお、3日前までに予約を入れれば、誕生日やアニバーサリーのホールケーキを注文することも可能とのこと。
STYLE'S CAKES & CO. 詳しくはこちら
住所 | 東京都千代田区神田小川町3-16-5 |
TEL | 03-3291-6910 |
営業時間 | 12:00~19:00 ※お電話でのお取り置き受付時間は9:00〜10:30 ※売り切れ次第終了 |
「北沢書店」の店主である北澤さんにとって、同業者と神保町の動向や古書市場について情報交換する時間は重要。イタリアンバルの「九段下神保町クリムト」は、北澤さんが同業者の友人と訪れることが多い店の一つなのだとか。
「古書店が集まる街って、世界規模で見ても神保町くらいなんです。だからこそ、店と地域の絆や、同業者同士の横の繋がりが強くて。ライバル意識というものはなく、街を活気づけていきたいという共通の意志を持った仲間という感覚。この店では、今後行う新しい取り組みの計画なども共有し合っています。」
そんな北澤さん一押しのメニューは「ペンネのゴルゴンゾーラソース」や、「季節のフルーツ生ハム添え」。
アートや調度品が飾られ、品のいいインテリアで揃えられたおしゃれな店内もおすすめポイントなのだそう。
お酒を楽しんだ帰り道は、酔い覚ましがてら歩くお気に入りの道があるのだとか。「神保町駅から九段下駅の間にあるまな板橋は、渡ると視界が開けて開放的な気持ちになるんです。音楽を聴きながら歩くと、改めて『いい街だな』と感じますね。そのまま、左手に日本武道館がある広い道を通って、吸い込まれるようにして靖國神社に入ります。夜の靖國神社は人がいなくて、とても開放的な気持ちになれるんです。」
この街で暮らしを営む北澤さんだからこそ、気付ける街の魅力を再確認できる神保町から九段下までのルート。帰り道は、あえて電車に乗らず一駅から二駅ほど歩いてみると、新たな街の表情を発見できるかもしれません。
所用時間 4H