斎藤月岑 【さいとう げっしん】

1804~1878年
  • ヒストリー&カルチャー

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江戸末期の著述家。江戸地誌『江戸名所図会』の完成者として知られている。『江戸名所図会』は斎藤長秋・莞斎・月岑の父子三代の手によって書き進められ、1834年に刊行された本で、大本7巻20冊は、江戸府内ばかりでなく、北は大宮、西は日野、東は船橋まで記述が及んでいる。実地に見聞した上で名所旧跡、神社仏閣などの沿革と当時の状況を書いている。長谷川雪旦の詩情豊かな挿絵とあわせ、幕末期の江戸風俗がよく表れている。『名所図会』のほか、江戸および近郊の年中行事を解説した『東都歳時記』、江戸300年の精細な年表『武江年表』、浄瑠璃を中心とする江戸時代音楽史である『声曲類纂』などの著作がある。もともと斎藤家は江戸初めよりの名主で、代々市左衛門を襲名し、月岑は9代目に当たる。内神田雉子町に住まいを持ち、周囲六か町を支配し、町見廻り、町触の伝達、証文の奥書・加印、祭文執行などさまざまな役割をこなしながら多くの著作を残した。